最初に、この記事をご覧の皆様が、
一番気になっているであろう事について言及させていただきます。
中学・高校・大学で、演劇部、及び放送部等に所属する事が、将来のためになるか。
ほぼ、役に立ちません。
勿論、全てが無駄とは言いません。
人前に立つことに慣れたり、大きな声を出せるようになったり、メリットもあるかと思います。
しかし、部活やサークルでの経験が、仕事に繋がるかと訊かれれば、答えはNOです。
何故なら、お芝居の指導をする側も、プロで無い場合が多いからです。
大会やコンテストでも、あくまで「アマチュアの芝居」として評価をされます。
実際、私の通っていた専門学校にも、高校時代に幾つも賞を獲っていた演劇部、
放送部出身の子がちらほらいました。
しかし、それが、かえって裏目に出てしまい、行き詰って姿を消してしまう人もかなりいました。
プロの脚本家、声優、役者の先生にダメ出しをされても、
「自分は○年間もこのやりかたでやって来た!」「この方法で賞を獲った!」と、
過ちを正せないのです。
ですので、私は、演技系の部活やサークルに所属する事をおすすめしません。
それよりも他の事を経験した方が、よほどためになります。
野球部にいた子の方が、野球をしたことの無い子より、野球選手の役を演じやすいでしょう。
吹奏楽部にいた子の方が、学園もので楽器を演奏する子の役を演じやすいと思いませんか?
お芝居が好きなのは、とても良い事です。
しかし、良いお芝居をするためには、経験が何よりの武器になります。
お芝居だけでは、ダメなのです。
声優を目指す人が中学時代にすべきこと
幼少期から劇団に入り、訓練を積んでいる方も多いと思いますが、
義務教育の期間は、なによりも勉強をしてください。
知識が無ければ、台本を読むことは出来ても、お芝居は出来ません。
簡単な質問をします。
シェイクスピアのハムレットに、自殺した女性を埋葬するシーンがあります。
二人の墓掘りが、深夜に彼女の墓を掘っています。
墓掘りは怖がっています。何故でしょうか?
アマチュアのお芝居なら、墓掘りは「怖がっている」という所まで掘り下げたら、終了でしょう。
役者は恐らく、ビクビクしながらセリフを読み、それでOKになると思います。
しかし、プロでは駄目です。許されません。
答えを書きます。
ハムレットは、1600年にイギリスで書かれたお話で、主人公はデンマークの王子様。
登場人物はキリスト教徒です。
墓掘りが恐れているのは、お化けでも、夜の暗闇でもありません、人に見られることです。
でも、それは何故?
キリスト教では、自殺は大罪なのです。
自殺した人間は地獄に堕ちるとも言われています。
そんな罪人に墓を造ってやっている所を見られたら……。それよりも、自分たちまで地獄に堕ちたら……。
日本人には、ちょっと分かりづらい感覚かもしれません。
恐らく、普通に義務教育を受けていても、これが分かる人は少ないかと思います。
義務教育さえ、まともに受けていなかったら?
お芝居以前の問題です。
楽な方へ、楽な方へと逃げず、最低限、学校で教わる国語や歴史の内容だけは、完璧に身につけましょう。
発声・滑舌はそれからのお話です。
声優を目指す人が高校時代にすべきこと
義務教育ではありませんが、やはり知識は多いに越した事はありません。
高校に通うのであれば、「どうせ大学にはいかないし~」と怠けずに、きちんと勉強をしましょう。
そして、部活動が強制ではない学校も多いかと思います。
家族の方と相談し、夜間に養成所・専門学校へ通うと言う手もあります。
演技系の部活に所属するよりも、遥かにスキルが身に付きます。
ですが、高卒の資格は取っておいた方が良いです。
万が一、芝居の道を諦めた時にも、就職をしやすくなります。
声優を目指す人が大学時代にすべきこと
大学に進学するかどうかは、大きな分かれ目かと思います。
多くの方が、高校卒業後に、声優になるための勉強をする専門学校や、養成所に入ります。
・18禁オーディションも受けられるようになり、チャンスが広がる。
・アイドル声優としてデビューするには、ギリギリの年齢。
この様な理由が上げられるかと思います。
ですが、大卒の資格を取りたいようであれば、芸術科のある学校に進学するのも悪くはありません。
きちんとプロのレッスンを受けられます。
ですが、「声優」としての仕事のオーディションの回数が多いのは、圧倒的に専門学校・養成所です。
また、卒業後の進路についての情報も、沢山仕入れる事が出来ます。
勿論、多くの専門的な知識を身に着けたい場合や、様々な経験を積むことも、
長い目で見ればお芝居に良い影響を与えますので、自分が一番納得できる道を、良く考えてください。
最後に
例え、どんな環境にいたとしても……親に強制されて、望まぬ進学をしてしまったとしても、
将来お芝居をしたいのなら、その場所で、必死に生きて、勉強してください。
全くもって、全てが無駄になる事なんて、一つもありません。
今、目に見えるものに対して必死になれない人が、目に見えず答えの無いものに齧り付いて行けるでしょうか?
結論を書きますと、その時何をしていても、どんな選択をしても間違いなんてありません。
ただ、自分に嘘を吐かず、自分の選択を後悔しないでください。
後悔しない為に、今、やらなければいけない事を、キチンとやりましょう。
……さて、宿題は終わりましたか? 溜まっている課題はありませんか?
まずは、そこからです。